落合宿から馬籠宿まで 2017年9月9日 〜落合宿〜 中津川駅１２時１２分発の.バスに揺られて１０分、落合バス停下車　（１２時２２分）街道に向かうと 先ず目に入ったのは宿並に突き出た善昌寺の門冠の松。（樹齢４５０年） .門前を先へ進むと西の枡形となり、中津川宿への道が分かれている。 .落合宿の静かな通りをゆくと、中ほど左手に本陣、井口家の立派な門 この門は、加賀前田家より寄贈されたという。中山道でも珍しく現存している本陣建築で、皇女和の宮が休息した上段の間もあるというが公開されていない。 本陣の斜め向かいに、脇本陣跡の標石が建っていた。問屋を勤め庄屋でもあったらしい。 .宿の中のゆるやかな坂道をゆくとやがて、左に寛政４年に立ったという常夜灯が目に入る。そこは東の枡形で道は左に大きく曲がる。 .高札場跡の標石と飯田道追分の碑　落合川に向かって下っていく。 .|落合川にそうように下り、下桁橋を渡る。流れが美しい。 .橋の先からは、十曲峠に向かう急な登りが始まる。 途中、道は大きく右折し、ほどなく、薬師如来を祀る医王寺につく。境内には枝垂れ桜の大木と芭蕉の句碑があった。. この先で峠から下ってきた旅人と出あう。「坂キツイですね］「まだまだありますよ」・・・・ 落合の石畳　にはいる。 解説によると十曲峠にはその道の険しさから石畳が敷かれていたが、明治以降は荷車の通行に不都合だというので取り除かれた場所もあり、現在では、江戸時代に敷かれた３か所も含め全長840ｍにわたって復元されている。とのこと。石畳を進むと森の深い緑と苔むした石畳が美しい。 .石畳が終わるとやがて、新茶屋の一里塚につく。ここでは両塚が残っていて日本橋より８３里目。西塚には信濃と美濃の「国境」標識も立っている。 是より北木曽路と刻まれた碑、「送られつ送りつ果ては木曽の穐」と刻まれた芭蕉の句碑も。 新茶屋はわらび餅が名物の立場茶屋があった。今は民宿が建っていた。 これより木曾路 木曽路に入って先ず目にしたのは正岡子規がこの地に立って読んだ句が刻まれた句碑 「桑の実の木曽路いずれば稲麦かな」 遠望の利くこの場所からは美濃路を一望でき、手前に広がる棚田には、黄金色の稲穂が輝いていた。 村落の中を行くとやがて村の五穀豊穣を祈願して建てられた諏訪神社があり、その参道脇に島崎藤村の父、正樹の顕彰碑が建っていた。正樹は馬籠宿本陣最後の当主であり、木曽山林の解放運動に奔走したという。幕末から明治の激動時代を描いた島崎藤村の代表作「夜明け前」、主人公、青山半蔵のモデルが正樹であることをここにきて知ったのだった。 近くには馬籠城跡もあった。天正時代よりその城を守備したのも藤村の祖先ということだ。 １４時２０分馬籠宿着 一歩宿場に足を踏み入れるとそこはもう別世界の感あり。観光客であふれているのだ。 枡形道にある車屋坂を登ると角に風情のある水車小屋。中に入ると水車を利用した小規模な水力発電がおこなわれている。 枡形を右に曲がるとゆるやかな上り坂に軒を連ねる宿場が始まる。 山の斜面にあるため風通しがよく過去幾度も火災に見舞われてきたという。現在の屋並みは復元されたものではあるが住民の町並み保存の意識の高さや経年によって宿場町ならではの風情が醸し出されている。街道両側に飲食店や土産物店が立ち並び、賑やかな観光地となっている。 人混みみを避け、本陣へ。（藤村記念館でもある本陣跡） 本陣の建物はほとんどが明治２８年の大火で焼失したらしいが唯一、祖父母の隠居所が残っている。少年時代の藤村が父から四書五経の素読を受けた部屋でもあるようだ。 記念館内には藤村の自筆原稿や蔵書など数多く収められている。一角にある「ふるさとの部屋」で藤村を紹介するビデオをみる。よく風の通るその部屋で外の喧噪を離れしばしくつろいだ。 まだ４時前だったが予約してあった民宿へ。風呂で汗を流しさっぱりして再度街道へ出る。 夕風をかんじながら街道を外れ、島崎家の菩提寺の永昌寺や木曽義仲の妹菊姫供養のためにたてられたという伝説のある五輪塔など散策。 ５時過ぎの街道は観光客も去り、さすがに静かないい雰囲気。明日はこの道を登って妻籠へ・・・ 〜朝の馬籠宿　（９月１０日））〜 静けさの中で朝日が白壁を照らしている。昨日は賑わいの中で写真を撮るのもままならなかった西の枡形まで行ってみた。期待通り車坂の向こうに恵那山を見ることができた。 まだ開店前の町並みを宿へとひきかえす。 広重画：落合い宿を出て、落合川を渡る大名行列。高い山は恵那山 おことわり：浮世絵画像は合同出版「木曽街道六十九次」より。