4月24日

鳥居本から醒井へ

９時２０分鳥居本駅着。先夕には逆光で上手く写せなかった駅舎を写してから出発。掲示板によると、途中で建て替えられたとはいうものの昭和６年当時の平均的な駅舎建築を踏襲しているそうで、平成８年にはこの駅舎内で１８４時間に及ぶコンサートが催されたとの記述もあった。

駅から、鳥居本宿を通過、先に切り上げた赤玉神教丸有川家の前に立つ。

ここを右折して、茅葺屋根や虫籠窓を残す旧家の建つ曲がりくねった旧道を進むと・・・
辺りは開け、見覚えあるモニュメント。｢おいでやす」で迎えられ、「また、おいでやす」でお別れ。

中山道道標を右に見て矢倉橋を渡る。まっすぐ進むと北国街道。中山道は右折し旧道へ。

摺針峠に向かってうっそうとした山道をいく。

峠越えということで長い急坂を予想していたが、意外と簡単に摺針峠の望湖堂跡に行きつく。掲示板によると、望湖堂は江戸時代に設けられた大きな茶屋で旅人はここで琵琶湖の絶景を見ながら「するはり餅」に舌鼓を打った。とある。標識のみとなったその地点から琵琶湖方面を見下ろすと、あいにく霞んでいて湖はぼんやりと確認できる程度だったが、それにしても広重の浮世絵とは少し様子が違っている。当時は湖だったところが埋められたのだろうか。田園が広がっている。

摺針峠とは変わった名前だ。修業に耐えきれず逃げ出した少年弘法大師は斧を石で摺って針を作っている老婆に出会い己の未熟を悟ったという逸話が残っている。その老婆を祀った神社(神明宮)の鳥居がすぐ隣に立っている。神明宮から旧摺針村の集落の中を下っていくと、中山道道標。

名神高速がすぐ近くを通り、あたりには広々した田園が広がる。ゆったりした坂を上ると、山側にはうわみず桜の白い花が今を盛りと咲いている。小鳥のさえずりも心地よい。
自転車でＶサインをしながら若者たちが近づいてくる。「愛知から来ました！」と元気に声をかけてくる。高校生だろう。若いっていいなあと思う。

名神高速米原トンネルの上が小摺針峠の頂上。さらに、高速道路に沿った坂道を下っていくと、中山道番場の碑に出会う。

番場宿は長い一本道に往時の街道の面影が残っている。

南北朝時代の悲惨な歴史を秘めているという蓮華寺はぜひ立ち寄りたい寺。街道をそれ、高速道路の下をくぐった先にその寺はあった。門前のカエデの緑がまぶしい。庭も美しいというので受付のある庫裏を訪ねると寺の奥さまが丁寧に案内してくださる。借景のゆったりした庭の緑を愛で、本堂、宝物館など、お話をうかがいながら進む。ここでは猿や時には鹿も出没するといったユーモアある話も聞きながらゆったりとめぐる

庭に出て、本堂の脇に進むと、南北朝時代の大小様々な五輪塔がびっしりと並ぶ一角がある。１３３３年足利尊氏に追われてきた六波羅探題・北条仲時一行432名がこの地で朝廷軍に包囲され本堂前にて自刃に及んだ。流れでた鮮血で辺りは血の川と化したちは何と凄惨な最期だったことだろう。
それから６８０年あまり、この静かな森に祀られている。。

この寺にはほかに、番場の忠太郎に由来する忠太郎地蔵もあった。
忠太郎は架空の人物ではあるが劇作家・長谷川伸の「瞼の母」の舞台が当地ということだ。

番場宿には本陣も問屋跡も名残は標柱のみ。琵琶湖の米原湊に通じる米原道近くには問屋場跡の標柱が多い。往時は物資輸送の要として６軒の問屋場があり栄えたということだ。

番場宿江戸口を過ぎ、しばらく行くと,久禮の一里塚。近くに名神の米原ＪＣＴがあり、北陸自動車道が合している。中山道は北陸道をくぐって進む。

国道２１号を横断した道は東海道本線と並行して進む。樋口集落は脇に水路が流れる静かな通りをいく。
千葉から来たという二人づれに出会う。「もう少しですね」と声掛け。「のんびりだからまだまだです」との返事。同じように周辺を楽しみながら歩いておられるようだ。
樋口のわき道に入り、東海道本線を横切った野で田園を見ながらサンドイッチをほおばる～～長閑だ。