4月23日 醒井から柏原、今津、関ヶ原へ 駅に着いたのは９時３０分. この日は醒井宿から柏原、今須そして国境の先、関ヶ原まで６時間の予定。 先ず、訪ねたのは資料館になっている旧醒ヶ井郵便局。この建物は大正4年ヴォ―リズの設計で建てられたもので１９７３年まで郵便局として使われていたそうだ。 宿は地蔵川のバイカモで知られる水の町である。水を巡る旅を楽しもう。 醒井宿：地蔵川に架かる橋 十王水・・・平安時代に天台僧によって水源が開かれた三名水の一つ。 了徳寺・・・葉の上に実をつける｢御葉付きイチョウ｣は国の天然記念物に指定されているのだとか 右に地蔵川の清流の流れる通りを進む。この川には初夏に白い花をつけるバイカモの美しい緑の水藻が揺れその間を清涼な湧水を好むハリヨという小魚が泳いでいる。流れを楽しみながら、街道を進む。 流れに沿って問屋場跡、本陣跡(現在は割烹）とつづく。この問屋場跡前では僅かに咲いたバイカモを見ることができた。 楓の新緑が水面にうつりこみ実に美しい。 居醒の清水・・・醒ヶ井の由来ともなった湧き水で、伊吹山の大蛇退治でその猛毒で発熱した日本武尊がこの湧き水で体を冷やし回復したといった伝説がある。地蔵川はここを起点に湧き水を集め流れている。 加茂神社・・・居醒の清水横の鳥居をくぐり石段を上ると、その境内からは宿全体を見下ろすことができる 加茂神社から２００ｍほど先に醒井宿碑と宿場の古地図がある。清涼さを満喫した醒井ともお別れだ。坂道を登ったあたりに佛心水と彫られた屋根つきの井戸がある。旅人の喉をうるおし道中安全を祈願した井戸との説明があった。やがて道は国道２１号と合する。大きな中山道の石碑があった。近年作られたものだろう？ ５００ｍほど国道を歩き左の梓川に沿った小路に入る。土手のシャガが美しい。 梓川橋を渡るとやがて大きな自然石の中山道碑がある。その先には番の面遺跡(４０００年前の竪穴式住居跡）。うっそうとした杉林の下草にマムシグサなどが生えている。里山歩きなど思い出しいい気分で歩ける。緩やかに登っていくとサイクリングの一行とすれ違い挨拶を交わす。バイクのツーリングは騒がしいのでちょっとお断りという感じなのだがサイクリングは爽やかでいいなあと思う。 小川関跡・・・不破の関以前に設けられたという関所跡 ここ、旧長沢村は柏原宿枝郷 枝郷とは、新田開発により、元の村（本郷、元郷） から分出した集落を指す。 松並木と柏原の一里塚 日本橋を出発して月に一度ずつ歩いているという男女６人のグループと出会う。同年輩と見受けられるが皆さん健脚そう！ 柏原宿 柏原は１．４キロに及ぶ大きな宿場。街道筋には古い家が残っていて、それぞれにもとの商売を記していておもしろい。街道の名物は伊吹山で採れる蓬で作ったモグサであった。当時は１0軒を超えたという。広重の浮世絵にも大きな福助人形を飾ったモグサを商う店、｢伊吹堂亀屋」描かれている。 ヨモギからもぐさというのは初めて知った。不純物のない繊毛だけの艾を作るには、夏によく生育したヨモギを採集し、臼で搗（つ）き、篩にかけ、陰干しする工程を何度も繰り返す手間のかかる作業のようだ。 柏原宿歴史館 喫茶「柏」の「やいとうどん」この宿の名物ということで味わってみた。伊吹山のよもぎで作るもぐさが当地の産物であることと関連している。茹で卵の上に載せたとろろ昆布と紅ショウガはやいとを模していておもしろく、細うどんもなかなかおいしかった。 伊吹堂亀屋左京店…創業１６６１年のもぐさ店。 問屋場跡、本陣跡と軒を連ねたにぎわいを感じながらの街道歩き。 伊吹山は街道の左手、柏原駅近くへ来て、やっとくっきりと見上げる事が出来た。写真は東見付け近くの八幡神社より。 柏原宿の歴史を書いた掲示板の先に鳥居前に旧東山道の草道が残る神社があった。 醒井 　柏原 松林と山の間の川が天野川だということで おそらく醒井の京ぐちあたりかもしれない。 もぐさを売る老舗「亀屋」 福助人形や、金太郎が飾られている。 これより美濃路　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 国境 近江側に旅籠かめや、美濃側に旅籠両国屋があり寝ながらに話ができたというので｢寝物語の里」と言われ、広重の浮世絵にも登場するのがこの国境。今は大きな石碑と向かいに標識が立っている。 近くに芭蕉句碑 今須宿 ここから美濃路の宿ということになる。 今須はは宿場当時の面影はあまりなく本陣跡、問屋場跡の標識があるのみ。 ]国道にある一里塚をふりかえる。やがて左手のわき道に入り峠へ向かう。(写真では右） 今須峠の掲示板。周辺には白いオドリコソウが咲き、緩やかな登りが旧街道を感じさせる。 関ヶ原 東海道本線を渡りしばらく野道を進む。 常盤地蔵 義経の母、常盤御前は東国へ向かった義経を案じて後を追い、この近くの山中で賊に殺される。哀れに思って村人が地蔵を安置したのだという。その小さな墓も近くにあった。そこで日本橋から３年がかりで来たという千葉県のご夫婦と出会い、しばし歓談。 鶯の滝 壬申の乱の際には流血で川底の岩石が黒く染まったという黒血川　　解説(マウス） 間の宿・・・今須宿と関ヶ原宿の中間にあり立場茶屋があった。高札場が設けられていたとの解説(マウス） 壬申の乱の際、両軍が川を挟んで対峙した藤古川。この一帯にはこのほかにも乱に敗れ自害した大友皇子の首級埋葬地や兵が喉を潤したくて矢じりで彫ったと伝わる井戸なども残っていた。 藤古川を渡り少し坂を登ると・・・ 不破の関跡・・・古代律令制下の三関の一つで壬申の乱以後に設けられたという。 道沿いにあった関ヶ原合戦のあと・・・上から。大谷吉継陣跡、福島正則陣跡、数千人の首級を葬った西首塚 中山道、関ヶ原宿の本陣を示すのは八幡神社の境内のスダジイ・・・ 　　　　　本陣庭の一角に当たり、この木のみが当時のまま残っている。 本陣の名残 相川脇本陣　(門を残している）　　　解説は(マウス） 関ヶ原は宿場としての繁盛を偲べる史跡に乏しい。本陣の名残は庭木のスダジイ。駅近くに脇本陣跡が残っているのみであった。(15:30着) この地は中山道の宿というよりも古戦場の跡をたどってみたいところだが、街道歩きのついでというにはちょっと時間がかかりすぎるかもしれない。 今須 関ヶ原 左の杭に【江濃両国境】とかかれている。 手前が近江屋。向こうが両国屋 壁越しに寝ながらにして他国の話を語り合えたということから「寝物語の里」と呼ばれるようになった。という。 古戦場の面影はない。 北国街道との追分である。図はその様子。 さとうもち、そばきり、うんどん、などの看板が見える。 おことわり：浮世絵画像は合同出版「木曽街道六十九次」より。