本庄宿から深谷宿 9月20日　① 昨日切り上げた本庄駅に着いたのは９時少し前。駅前で準備体操をし、お弁当を買って、中山道に戻る。昨日見過ごした資料館は気にはなりつつ先を急ぐことに。 県道６２号を東へ東へ1.5キロほど歩くと道は緩やかに下っている。御堂坂と呼ばれる。 右手に石仏石塔軍がある。文化元年（1804）の庚申塔やそれよりも５０年は古い馬頭観音が立っている。 ５００メートルほど坂道を下っただろうか。歩道橋で国道１７号を渡る。緩やかに感じたが振り返ると結構な坂だ。 元小山川をわたり少し行くと三差路になっていて、左に行くと五料関所、前橋に通じる五料道。右は中山道。 その地を傍示堂という。奥に小さな祠（傍示堂）が立っていた。傍示堂は国境に建立されるものらしく、かつてはこの地が上州と武州の国境であったらしい。立場としてにぎわい、上毛三山も一望できたという。 さらに１キロ近く進むと左手に地蔵堂と石仏石塔群。 宝珠寺 今朝の歩きで一番に目指していたのは木立の向こうに見える赤い朱色の宝珠寺だが、なかなかそこにはたどり着けない。 自転車の老婦人にもう少しですよと教えていただく。親切な人が多い。 文政２年（1819）に再建されたという本堂など 寺の由来はともかくとして手入れの行き届いた参道の緑に山門の朱の柱が映えてなかなか美しい。 八幡大神社 ちょうど真向かいに立つ神社。牧西（もくさい）村の鎮守、建久6年（1195）牧西四朗広末という人が鎌倉八幡宮を勧進したもので、奉納される神楽「金讃神社宮崎組」が本庄市の指定文化財になっているという。 次に目指すのは１．５キロほど先の滝岡橋。 橋を目指して旧牧西村をひたすら歩く。右に曲がればすぐそこだよと畑の男性が教えてくれる。 滝岡橋 小山川の土手に上がると、朱色の橋が目に飛び込む 昭和３年建設の鋼製八連橋で国の登録有形文化財。橋台はレンガ。欄干は花崗岩でできている。。 小山川の流れ 百庚申 橋を渡り、岡地区に入る。道案内に沿って右手に回り込むと、八坂神社の土手に無数の石仏が並んでいる。 １８６０年、庚申の年に建立された庚申塔群で、同年の黒船渡来やさ桜田門外の変など世情騒然 の中、岡地区の有志1３人によって造立された。圧倒されるほどの数だった。 土手に沿って緩やかに上り、豊見坂を下ると、道は国道に合する。５００メートルほど先を左折、坂を下って、歴史公園内に復元されているという校倉造の倉庫を見に行く。 中宿古代倉庫群跡 奈良時代に武蔵の国二十一部の一つ、榛澤郡の所役があった場所で、年貢が一時保管されたという。 次に目指すのは4ｋｍほど先の宿根にある瀧宮神社。 まっすぐに延びる国道17号をひたすら歩く。 途中で見かけたのは・・・ 寶登山神社。普済寺参道口の石仏石塔群。各民家敷地内の小さな祠。など。 一番気になったのは各家の東南の角に立っている祠だった。洗濯物を干しておられた地元の老婦人に尋ねると 氏神様だという。このあたりの風習なのだろうか・・・。 一帯の地名を岡部という。岡部六弥太忠澄という武将にちなむらしい。先に一寸立ち寄った普済寺を開山した人物だ。 武蔵七党の一つ猪俣党の出身で、源義家の家臣として保元平治の乱で活躍し、源氏十七騎の一人として名をはせた。頼朝の挙兵に出陣、木曽義仲を追討。ついで、1184年の一の谷では平氏の名将，平忠度を討ちとった。という。 来た道を振り返ってみた 漬物屋さんの看板が気になって、その作業場をのぞいてみた。 岡部は大根の特産地で、漬物の名産地らしい。ご夫婦で、漬物を仕込んでいる最中だった。この時期は白瓜を漬け込んで奈良漬けを作っているらしい、塩漬けされた瓜が並んでいた。しばし見学・・・。 すっかり時間をとってしまったが、先を急ごう・・・。 瀧宮神社 宿根村の総鎮守。社殿は新しくなっていたが、明応5年（1496）の建立。地を掘ったところ滝のように水が湧き出たところからついた神社名。 神社前で中山道は国道と別れ、高崎線に近づく。しばらく進むと右手、踏切の先に美しい寺門が見えたので行ってみた。 清心寺 境内に岡部六弥太忠澄が建立した平忠度の供養塔があり、自分が討ち取った敵の菩提を弔うという 寺名からも察するに、これもまた日本人独特の心情だろうか。 中山道に戻り、５００ｍほど。 空に突き出たレンガ造りの塔と、正面には地蔵が安置されている朱色の呑龍院が見えてくる。 道は枡形になっていて、深谷宿に到着。左角に、深谷宿の西口を示す、常夜灯が立っている。 天保11年建立で高さは約、4メートルある。 深谷宿は東の常夜灯（東口）まで約1.7ｋｍという、長い宿場。 深谷はもとは深谷城の城下町として栄え、江戸時代に廃城となってからも、宿内には市が立ち、舟運の中瀬河岸をひかえた商人の町として、また江戸からの旅人の二泊目の宿場としてにぎわった。 天保14年には家数525軒。うち、本陣1、脇本陣4、旅籠80、で人口は1928人。 繁盛した宿場の名残として造り酒屋も多かった。 また、深谷は明治20年に渋沢栄一らによって、日本初の機械式レンガ工場が設立されたレンガの町でもあるという。 そんな前知識を入れて、宿場を歩いてみよう。 瀧澤酒店・・・銘酒、「菊泉」の蔵元。創業は文久3年（1863） 田中屋・・・銘酒「七つ梅」蔵元は現在廃業してしまったそうだが趣ある看板が残っている 飯島本陣跡 宝暦2年から明治3年まで本陣を務め、上段の間や次の間などを残しているとのことだが、現在は飯島印刷所となっている。 （深谷の信号機あたりから右に入ると駅なのだが、宿の東口にある常夜灯まで深谷宿を歩く予定。） 藤橋藤三郎商店・・・銘酒「東白菊」の蔵元 煉瓦卯建の旧商家 道路を挟んで向かいには脇本陣があった。 現在は「きん藤旅館」。創業者は近江出身の籐平で屋号を「近藤」とした。 さらに、500m近く進み行人橋で唐沢川を渡る。行人橋という名の由来は江戸時代にたびたび氾濫し流された橋を、僧の行人が托鉢をして石橋に架け替えたことにちなむ。 深谷の地名は唐沢川の深い谷に由来しているということだ。橋上から覗き込んだが確かに深い・・・ 橋を渡り500mほど行くとようやく宿の東口常夜灯に着く。（14時15分） この先、熊谷までは列車を利用し宿内のみを歩く計画。 駅に戻るには30分ほどかかるだろう。そろそろ、切り上げねばならない。 深谷駅 駅前広場には渋沢栄一の銅像が立っていた。この駅が深谷のレンガで東京駅をモチーフにしているというので楽しみにしていたが、残念ながら現在工事中だった。 14時42分発で、熊谷に向かう。 　　　 英泉の浮世絵より、深谷宿 賑わう深谷宿では飯盛女も多くいた。夜の宿の様子を描いている。