2019年9月19日 新町宿から本庄宿まで 神流川古戦場跡の碑 春の旅で上州（群馬県）と武州（埼玉県）の県境にある神流川まで到達していたが、県境の古戦場にあるはずの碑を見逃していたので、今回は国道１７号沿いのそこを出発点とした。（14：25） 旧道を少し入ると、左手に庚申塔が見つかる。その先が古戦場へとつながっていたようだが、今は草生して通行不可。 引き返し、春に到達していた神流川橋へと戻る。見透燈篭の脇を通りいよいよ武州へと橋を渡っていく。炎天下、暑さに参ってしまいそう。 橋上からの古戦場 織田信長が本能寺で倒れた際、家臣の瀧川一益は敵を討たんと１万５千の歩兵を率いて前橋城を出陣。５万の大軍の北条氏と激突し敗退した。 橋を渡りきるとそこはもう武州。かつて日本橋より２３里目だったという一里塚跡から、旧道（勅使河原本庄線）に入る。近くに１８００年建立の庚申塔ほか、石仏が並んでいる。 途中、中山道の解説板を過ぎ１キロほど進むと、田園を背景に畑時能首塚と刻まれた自然石がそびえている。 畑時能は新田義貞の家臣で１３３９年越後の国で足利方に討たれた武将。重臣によって当地に葬られたとある。 首塚を背に少し入ると陽雲寺がある。武田信玄の正妻、三條の方の居住地と伝わる。 境内にある鐘楼と同鐘は朝鮮式で貴重なものらしい。 金久保八幡神社 １５２５年、金窪城主が鶴岡八幡宮から城内に勧進したことに始まるが、神流川合戦で焼失。その後、村人がこの地に遷座したという。狩野派の絵師によって描かれた（１８６３年）天井画が有名だというので隙間から覗いてみた。 なお、鳥居のわきに高札場があったということだ。 天井画 開運薬師如来坐像がまつられた小さな薬師堂、参勤交代のたびに助郷の苦役を強いられた農民が涙を流した泪橋跡の庚申塔以外にはこれといったもののない神保原町を４キロほど、ただひたすら歩く。 見上げると、本庄市に入ったことを知る。 さらに２キロほど行くと、本庄市高尾歩道橋の脇を直角に右折。 県道462に沿った１００メートルほどの歩道が中山道。上に宿を表すタイルがはめ込まれている。辿りながら、本庄宿に入ったことを知る。 今まで歩いてきた中山道の宿の名を順を追って懐かしく眺める。 特に武州の宿は絵図になっている。 左手に並行する県道４６２号は下仁田街道らしい。中山道はこの道を渡り大きく左折する。その角にあったのは・・・ 金讃神社 欽明天皇２年（５４１）創建といわれる古刹で、本庄の総鎮守。 社殿などは本庄城主小笠原氏の建立。ご神木は樹齢３００年のクスノキ。社殿は極彩色で、同じく極彩色の能舞台も境内にある。 この先が本庄宿の中心。 宿は利根川の舟運や交通の要衝を控えて大いににぎわったという。天保１４年の宿村大概帳によると、宿内家和１２１２軒。うち、本陣2、脇本陣2、旅籠。宿内人口４５５４人。という風に中山道の中でも有数の大きな宿場であったらしい。はじまりは、室町時代に築かれた本庄氏の本庄城で、ついで、徳川氏の家臣、小笠原氏が治め、のち、幕府領となって宿場町、商人の町として栄えた。明治にかけては繭の集散地としても大いに栄えたという。 田村本陣の門が民俗資料館が移築されているほかには本陣や脇本陣の面影こそないが、 往時の繁栄を思わせる多くの建物が残っているという。中でもレンガ造りが美しい。 三つ並んだ旧小森商店の酒蔵を事務所などとして再利用した建物。 仲町郵便局は秩父セメントの創始者　諸井恒平が昭和９年に建設したもの。 旧本庄商業銀行後 安養院。奥まったところに立派な門が見えたので近づいてみた。１４７５年創建の曹洞宗の寺らしい。 戸谷八、永禄３年創業と書かれたこの商店の裏手にも立派な蔵が見えた。蔵は燐家の蔵ともつながり防火帯の役も果たしたという。 高札場もあったという田村本陣跡地には現在りそな銀行が立っている。面影もなし、行員さんに聞いてもその名残も知らないらしい。 そろそろ本日の予定終了時間。駅へ急ぐ。（17：15） （新町、本庄間は約９ｋｍ　：１８８００歩） 英泉の浮世絵より、本庄 神流川を渡るには橋が本庄側の勅使河原村から中州にかけられそこから新町宿へは舟で渡った。 夜渡る人のために両岸に「見返し燈篭」が設営された。 背景に見える山は、上毛三山〈妙義、榛名、赤城）