午前中は高崎宿まで歩き、午後は倉賀野宿を目指す予定。
群馬八幡駅についたのは９時少し前。昨日の終点、少林寺入り口交差点から少し引き返して歩道橋で土手道に出る。空は春霞がかかっているとはいえ今日もいい天気。
先ずは、中国の帰化僧、心越禅師が開山したという黄檗宗の古刹、達磨寺へと、鼻高橋を渡る。

★橋上からの碓氷川

★少林山達磨寺
山腹に位置するこの寺の始まりは室町時代末。江戸時代になって氾濫した川より香木が見つかり、１６８０年行者、一了居士がその香木に達磨大師像を彫って祀って以来、達磨大師の聖地として知られるようになったという。１６９７年には水戸光圀が帰依した帰化僧、心越禅師を開山と仰いで前橋城の裏鬼門を護る祈願寺となった。
境内には観音堂、霊符堂、達磨堂、瑞雲閣、大講堂、鐘楼が立ち並び、中でもこの寺の本堂として、たくさんのだるまが納められた霊符堂が印象に残る。
なお、一角に、ドイツ人建築家、ブルーノ・タウトが昭和初年に居住し、日本の文化を研究したという「洗心亭」がある。

寺を辞し、川に沿って東へと歩く、行けども行けども対岸への橋が見つからず、対岸にあるはずの藤塚の一里塚を通り越してしまう。やっと見つかった木製の橋を渡り対岸へ。
群馬県下で現存する唯一の一里塚を見過ごすわけにはいかないとばかり、土手道を引き返す。
（３０分ほど無駄にしてしまった・・・）


★藤塚の一里塚
塚木は樹齢２００年以上という榎。

土手を下り、再び国道１８号へ。
上豊岡町交差点から旧道（中山道）へ入る。角にある上州櫓造りの旧家が目印。


★櫓造りの旧家・・・
養蚕が盛んだったこの地では風通しを良くするために屋根に櫓を設けている。

★石仏石塔群（茶屋本陣飯野家が建てたという地蔵、如意輪観音像、二十三夜搭）


★上豊岡の茶屋本陣
１９世紀初めに既にあった飯野家の居住用主家と接続する離れ座敷として増築されたのがこの茶屋本陣で高崎宿と板鼻宿の間に位置し、大名や上級武士、公家などの休憩に用いられた。
書院造りの上段の間、床の間のしつらえ、欄間の見事な彫刻、整備された庭、磨き抜かれた縁と、それぞれに往時のたたずまいをそのままとどめている。
また、主家の二階は養蚕に使われていたという説明を受け興味深かった。





★豊岡は達磨の里ともいわれ、だるまづくりの工房も多いという。かつて達磨寺の住職が農民に指導したのが始まりらしい。
★若宮八幡神社
平安末期、１０５１年、源頼義、義家父子が奥州安倍氏反乱を鎮圧の途上、戦勝祈願して建立したと伝わる。歴史の古さは社殿以上にたくさんの石祠からうかがえる。

八幡宮から中豊岡町を約一キロ行くと、下豊岡。
左手に「信州道分去れ道標」がある。刻まれているのは「右、はるなみち　くさつみち」
ここから、烏川にかかる君が代橋まで県道と合流する。



★君が代橋へ
★万日堂　
橋のたもとに立つ御堂。
室町末期に造られた「見返り阿弥陀像」が安置されているという。

傍にある地下道をくぐり階段を登ると橋上に出る。
★君が代橋とは１８７８年、明治１１年、明治天皇が北陸東海巡幸の際に馬車で木橋を渡ったことを記念して名付けられたのだとか。その橋からのながめは・・・。
赤城、榛名の山々は春霞の向こう。僅かに高崎観音が見える。






渡った所は常盤町。暫らく川と並行して歩き常盤町交差点で左折。その角には山田文庫。

★山田文庫
実業家で学者でもあった山田勝次郎氏の居宅を私設図書館として一般開放したもの
屋敷蔵、茶室、塀などが残っている。現在も管理人さんがおられ、茶室を開けて案内してくださる。ゆっくりした時を過ごしふたたび街道へ。赤坂通りというらしい。


★岡醤油醸造
天明７年（17８７）創業の老舗

赤坂通りをゆるやかに登っていく。
★左手に青い屋根と八重桜の美しい長松寺。
その書院は高崎城に幽閉された徳川秀長が自刃した部屋を移設したものだという。
また、加賀藩の茶屋本陣をつとめた。


★赤坂通りの終点は本町１丁目の交差点。高崎宿の西口といわれる。
左手に高崎神社があった。高崎の総鎮守とのことだが、建物は新しくあまり風情はない。

近くの郵便局横にちょっとした緑地公園があったので、そこで持ってきたおにぎりで昼食とする。


☆高崎市街

高崎宿は天保１１年当時の旅篭が１５軒。諸大名が城下を敬遠したため本陣、脇本陣はなかった

鍛冶町、新町、連雀町、鞘町など城下ならではの町名が今なお残っている。

本町三丁目交差点で右折。田町という通りに入り、連雀町信号を右折

★高崎城址
★あら町諏訪神社
見落としそうな小さな建物だが総漆喰、塗籠造りで彫刻が見事。

★井上房一郎邸　（高崎美術館内）
中山道とは直接関係はないが、高崎の実業家で、音楽や美術、特に建築家のブルーノ・タウトやアントニン・レーモンドとも親交のあった氏の私邸を是非見たいと思って立ち寄った。

邸はレーモンドの事務所兼自宅を参考に１９５２年に新築。



この住宅でとくに興味深かったのは当時のセントラルヒーティング設備

南町、和田町と高崎駅を遠巻きにしながら県道１３４を進む。
上信電鉄踏切あたりが高崎宿の東（江戸）口だという。
上佐野町で国道17の高架をくぐり、県道１２１号（和田田中倉賀野線）に入る。
ここからは倉賀野に向かってひたすら歩く。
１時間近く歩いただろうか。右手に小山が見える。

★浅間山古墳　４～５世紀の豪族の墳墓
★安楽寺
倉賀野宿の京口にあたる。
室町時代の異形板碑が保存されているという。本堂裏の竹が密生する小山は安楽寺古墳
異形板碑とは
板状の石材を使用した卒塔婆の一種で、中世の関東地方で多く作られた。 多くの場合、石材には緑泥片岩（りょくでいへんがん）が使われている。 安楽寺境内にある2基の板碑は、普通より厚みがあり、石材も牛伏砂石（天引石）が使われているのだとか。




★高札場跡

★倉賀野宿、脇本陣（須賀喜太郎）跡
倉賀野宿の２軒ある脇本陣の一つで連子格子や脇うだつのある建物。


時刻は４時３０分前。明るいので本陣跡までもう少し歩けそうだが、すぐ左に入ると倉賀野駅がある。すでに３万歩を越えている。無理のない歩きをしようと決めていたので続きは明日ということで駅に向かった。