2017年11月5日 妻籠宿から三留野宿へ （12：50） 妻籠宿へ入ったのは９月に続いて２度目。今回は宿の江戸口、高札場から次の宿、三留野へ向かう。 高札場から宿を振り返る。 東の枡形にある口留番所跡を過ぎ、しばらく行くと左手に熊谷家住宅や御宿大吉が立ち並んでいる。 斜め前には鯉岩と呼ばれる大きな岩。このあたりまでが観光客でにぎわっている。 １８９１年の濃尾地震で頭部が落ちてしまったので鯉の形は判然としないが中山道の名岩の一つだという 紅葉の始まった木々の間をぬけていくと左手に妻籠城址への登り口がある。<br> 解説によると、築城は室町時代と考えられ、後、木曽義昌が整備し天正２年には徳川勢の攻撃を退けている。・・・空堀、帯曲輪、土塁などを備えた典型的山城・・・とある。江戸時代に入り一国一城令によって廃城となったようだ。 １０分ほどで登れるというのでよることにした。登りながら見上げると美しい紅葉。 途中、帯曲輪などが原形をとどめ、登りきった所はかなり広い平地になっていて今は東屋が建っている。展望もよく南方向には妻籠宿、北方向には南木曽の町並みが見下ろせ、木曽駒ケ岳が遠望できる。 城跡からの展望を楽しんだ後下山。 登り口近くにある「しろやま茶屋」跡・・・ひどい荒れようだが頭上の紅葉がいい感じだ。 立てかけた戸を取リ除き、手を加えりゃいい感じなのになどと思いながら通過。 中山道蛇石と彫られた自然石の道標を確認し更に進む。 くぼほら茶屋跡には碑が立っていて、石置き屋根の水車小屋が残っている。 良寛歌碑：良寛が木曽路を通った時に読んだという歌が刻まれている。 木曽路にてとあり、「この暮れの　もの悲しきに　わかくさの　妻呼び立てて　小牡鹿鳴くも」 上久保の一里塚　両塚が残っている。日本橋より８０里目 このあたりから石畳が始まる。 右妻籠宿へ、下り南木曽駅へ」の道標を確認し、しばらく行くと十字路の先に美しい紅葉が見えてくる。境内に水車や観音堂、兜を持った観音様のある「かぶと観音」だ。 木曽義仲がその守り本尊として兜の中に納めていたという十一面観音を安置しているという。「袖振りの松」で作った水舟や義仲腰掛石（写真左下）が往時を彷彿させる。 ふたたび街道にもどると、道沿いに「袖振り松」とかかれた標識の上で巴御前の幟旗が閃いていた。義仲が弓を射るのに邪魔になった松の枝を巴御前が袖を振ってなぎ払ったと伝わるらしいが、袖じゃなくて薙刀に違いないなどと思いながらその赤い紋を眺める。 民家の中を行く。集落を旧合戸村というらしい。当時の立場であん餅が名物であったようだ。 やがて、木曽川を眼下に見下ろしながら歩くようになる。 遠くに、９月に立ち寄った木製吊り橋の桃介橋が見えてくる。 １４：35　ＳＬのある広場に着く。Ｄ51だ。南木曽駅も近い。 広場を過ぎ線路に沿って歩く。道しるべにしたがって南木曽駅を前方に見ながら陸橋で中央本線を越えるとそこは和合集落。ちょうど駅の裏手を街道がとおっている。 右手にいまだ緑濃いイチョウの大木が見える。その下に「園原先生碑」がたっている。 元禄時代、三留村和合の東山神社の神官の子にうまれ京で神学を学び多くの門人を擁した園原旧富の碑とのこと。右手先にその神官住宅も残っていた。 ＪＲ南木曽駅の裏手を過ぎ、木曽川へと目をやると三殿貯木場の向こうに桃介橋が見える。 大沢田川橋、南木曽小学校、梨沢橋と左手に住宅街を見ながら、 所々の道案内にしたがって三留野宿本陣を目指す。三留野はかつて妻籠と並ぶくらいに栄えた宿だったようだが、明治１４年の大火で町並みのほとんどが焼けたという。かつて、和の宮一行も宿泊したという本陣もまた焼けてしまったらしく、解説板と石碑が建つのみ。 三留野本陣跡　15：10 三留野宿：三留野はこの地に木曽氏の館があり御殿とよばれたことが名の由来となっている。木曽路屈指の難所をひかえ旅籠も多かったが、たびたび火災に遭い、宿の規模は当初よりも短くなった。<br> １８４３年の中山道宿村大慨帳によると家数は77軒。うち、本陣１、脇本陣１,旅籠33。 その斜め前に脇本陣跡。 ]僅かに残る出梁造りの民家から往時をしのぶことができる 立ち寄り・・・街道から外れ少し山手に入った所にある曹洞宗の古刹、「等覚寺」を訪ねる。<br> 円空仏が三体安置されているというが、そのお堂は堅く閉ざされていた。 街道にもどり、宿を抜け、急坂（ベニ坂）を下る。中央本線の桁下をくぐった隅に小さな馬頭観音碑がぽつんと立っている。目の前に木曽川の流れが広がる。このあたりを三味坂というらしい。川に沿って進むとやがて国道１９号と出会い、次の宿、野尻に至る。15：40 この日はここまでとし、１６時３２分発の列車にのるべく南木曽駅へと引き返す。 南木曽駅には大勢の海外からの観光客(ヨーロッパ）。やはり中山道でもこの周辺が人気らしい。 妻籠で買った木曽駒 この絵馬は本陣横のふれあい館で買えると聞いていたが、９月には出会えず。今回行ったら是非と思っていた。ご夫婦で出店されていて縁起ものなのでということで裏側に「無病息災など、その場で書き込んでくれた。旅の思い出の一つとしよう。・・・・ 広重による三留野の浮世絵 1838年刊行の木曽巡行記にはこの宿は田畑多く木曽川両岸にありと書かれているという 手前に麦畑、背景に神明神社を描き抒情的な絵になっている。 おことわり：浮世絵画像は合同出版「木曽街道六十九次」より。