２０１７年１０月９日
細久手〜大湫
(13:00)
| 中央本線釜戸駅から山側に入った大湫宿に着いたのは午後１時。今回は宿の東入り口に当たる宗昌寺を出発点とした。 |
| 大湫宿は天保１４年当時。宿長約３４０ｍ、人口３３８人、家数６６軒、本陣１、脇本陣１、旅篭30。北町、白山町、中町、神明町、西町と続き、北町、白山町の境に枡形が、神明町あたりに弓形の曲がりが設けられたという。写真は北町の町並み。正面高台に見えるのは大湫小学校のようだ |
白山町
街道沿いの丸森屋は江戸時代末期の建築と推測され、当時の旅篭、商家の雰囲気をよく残しているという。公開されていたので中に入ると宿を紹介する資料など展示されていた。旅篭を営むと同時に尾張藩の許可を得て塩の専売も行い繁盛を極めたらしい。
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本陣跡
公民館の脇に本陣跡地の解説板があった。後方の小学校の校庭が本陣敷地であったらしい。坂を上って校庭に入ると一隅に宿泊したとされる和の宮の歌碑があった。
｢遠ざかる 都と知れば 旅衣 一夜の宿も 立ちうかりけり」と刻まれている。
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中町辺り
宿場の中心で脇本陣や問屋場が置かれていた。街道の右手奥に脇本陣の母屋、門が残っていた。
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| 街道右手、高台の観音堂は道中安全と病気全快の観音として信仰されているという。 |
| 観音堂から見下ろす風景：大湫は大久手とも表記されるが久手は湿地を意味する。周辺の山からの水で潤うのだろうか、山間部の平地にもかかわらず水田が広がっている。 |
（１３：40）
大湫宿を過ぎると小坂の緩やかな下りとなる。
街道左手に紅葉洞の石橋跡があり、隣に小坂の馬頭観音が祀られている。 |
県道から別れ山沿いの細道に入ると休憩所が設けられている。
この場所が広重の木曽街道六十九次の｢大久手宿｣が描かれた場所らしい。はられた浮世絵と背景は確かに似ている。 |
ふたたび県道に出ると右手に「二つ岩」といわれる大きな岩が並んでいる。
母衣岩と烏帽子岩。この辺りは路傍に大きな岩が多い。
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しっかりと舗装された県道をさらに進むと琵琶峠への登り口に差し掛かる。
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琵琶峠へ.
しっとりとしたコケに覆われた石畳はうかつに歩くと滑りそうだ。足元に気をつけて慎重に登る。周辺の覆いかぶさるような緑と木漏れ日が美しい
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.約１０分で頂上に達する。馬頭観音が祀られその傍らに和の宮の歌碑も立っている。
「住みなれし 都路いでて けふいくひ いそぐもつらき 東路のたび」
ここでも、和宮の江戸に落ちていくのだという思いが強く感じられる。
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.峠を越えてもなお石畳は続く。７３０ｍあり、江戸時代の石畳としては最長だそうだ。
下りの前方に八瀬沢一里塚が見えてくる。山中ゆえかほぼ完全な形をとどめている。
日本橋から９１里目に当たるようだ。
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| .途中、車道を越えても石畳は続くが、やがて土道となり落ち葉を踏みしめて歩く。 |
14：30
西の登り口に当たる八瀬沢立場跡に着く。峠越えと言うので構えていたが、難所ともいえぬほどの高低差、しかも旧街道の雰囲気が色濃く残っていて昔の旅人の気分を満喫できた。
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立場跡を過ぎると道はアスファルトになり、そこからゆるやかに登るのは北野坂。途中、賑やかな声が聞こえる。近くに養鶏があるためだ。坂の上に来ると山中に廻国塔が建っている。安永６年の建立で全国６６国の巡礼記念に建てられたらしい。
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更に行くと今度は犬の吠える声が聞こえる。左手に｢国際犬訓練所」という施設がある。その先を下っていくと、天神辻の地蔵尊、更に、焼け坂の馬頭様といった石仏が路傍にみうけられる。
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15：10
天神坂を下りきると右手に弁天池が見えてくる。池にはジュンサイなどが自生し、中央に設けられた石橋を渡ると、中の島に天保７年建立の石祠内に天文５年建立の弁財天が祀られている。
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.途中、３〜４月に赤い花をつけるというハナノキの自生地碑や女男松の跡をしるす石柱を見ながら
瑞浪の一里塚(奥之田の一里塚）をめざす。
２０分ほど先にその塚はあった。(日本橋より９２里目）
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15：45 細久手宿、高札場跡に到着。
上手を見上げると、庚申堂が建っている。宿の鬼門除けとして享和2年(１８０２)に建立されたという古いお堂。その境内には石仏石塔群があり、堂の裏手に岩室の中に役の行者像も安置されていた。下駄はき像として珍重されているとの解説があった。
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| .地勢からいって、隣の大湫とほぼ同じと思われるがこちらの宿は閑散としていて宿らしい面影は見受けられない。 |
15：50
新しい公民館の前に今夜の宿、｢大黒屋」が見えてくる。ここだけが唯一往時の面影を残している。
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| 山間部を行く「御嵩〜細久手〜大湫〜大井」の間にある唯一の宿、大黒大黒屋は安政６年に再建されたという姿そのままに今も宿として旅人を迎えてくれる。もとは尾張藩指定の本陣でうだつのある外観から上段の間のある内部まで１５０年前の雰囲気を残して営業されている。 |
| 午後から始めた歩きで御嵩までは遠い。大湫から、予約を確認し、ゆったり約３時間かけて到着。宿の主人ご夫婦に迎え入れられた玄関も、部屋も懐かしいたたずまいだ。 |
18:00
大黒屋の座敷でその日の宿泊客６人で膳を囲む。床の間の掛け軸にも宿の歴史が感じられる。
出された食事はすべてが近隣で採れたもので自家製とのこと。銀杏、むかご、栗、柿、ゆりね、ごま豆腐、そして岩魚、鯉、蕎麦、無花果、など素朴な味に舌鼓をうった。 |
大湫宿
細久手宿
 おことわり：浮世絵画像は合同出版「木曽街道六十九次」より。
 
今回はこの区間を東側から歩いたが京からだと江戸を目指す美濃路は細久手から大湫〜大井〜中津川へとつづく。
大湫〜大井は距離が長い上に十三峠越えがある。この区間は２０１８年、日が長くなってから歩くこととした。
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